【翻訳】マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督、金銭的なルール違反があればクラブを辞めると明言(Mark White, 4-4-2, 2023)

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マンチェスター・シティのボス、ペップ・グアルディオラは、プレミアリーグのルール違反で調査されているシチズンに対し、辞めると脅した。

マンチェスター・シティペップ・グアルディオラ監督は、もし雇用主が財務規則違反で嘘をついたのなら、職を辞するだろう。

シティは、プレミアリーグの財務規則違反の疑いで独立委員会からの調査に直面している。クラブは2009/10シーズンから2017/18キャンペーンの間に、「クラブの財務状況を真実かつ公正に示す正確な財務情報」を「最大限の誠意を持って」提供することを義務付ける大会規則に違反した疑いが持たれているのだ。

2020年、UEFAはシティが2012年から2016年の間にファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規定の「重大な違反」を犯したと裁定し、欧州クラブ大会からの2年間の出場禁止処分を与えたが、これは後に取り消された。一方、シティは2018年12月に始まった今回の調査に協力していないと非難されてもいる。

グアルディオラ監督は過去に、この問題に関しては歩む覚悟があると発言しているが、シティが有罪であると判断された場合、イーストランズのクラブは危機に陥る可能性を残している。

プレミアリーグはこれまで、100を超える財務規則違反の疑いのあるクラブに制裁を加えたことはない。

ペップ・グアルディオラ監督が過去に語った、財務規則違反の疑いのあるマンチェスター・シティの将来に関する言葉を紹介する。

「彼らが何かで非難されたとき、私は彼らに尋ねる。それについて教えてくれ」とグアルディオラは昨年5月に語っている。

「 彼らは説明し、私はそれを信じる。私は彼らにこう言った。『もし嘘をついたら、その翌日には私はここにいない。私は出て行くし、もうあなたの友達でもない。私は、初日からあなたを100%信じているから、あなたを信頼しているし、そのためにクラブを守っている。ここ(スポンサー)に何かを置くと過払いになるし、他の(クラブ)はアメリカからお金が来るけど、高くても正しいお金だ』。」

「私たちはそれに対処しなければならない、それと戦わなければならない。いつものように、私はこの組織をサポートするために大ファンであることは間違いない。」

「2012年や2013年の状況では、私はまだバルセロナにいた。そのときに運営していた人たちのほとんどは、今はここにいないが、もちろん私はそれを好ましいとは思っていない。私が好むのは、きちんと物事を行うクラブの代表であることだ。チャンピオンズリーグプレミアリーグで優勝することではなく、仲間やファンのためにうまくやりたいんだ。」

母国の危機へ声明を出したウクライナ人サッカー選手達

f:id:hrism:20220224191007j:plain 残念ながら、矮小化主義者、あるいは楽観主義者たちの目論見とは反対に、ロシアのウクライナへの侵攻が現実のものとなってしまいました。緊張の高まる中で、ウクライナ人のサッカー選手達は、SNSを通じて声明を発表しています。彼らの祖国が一日でも早く安寧が取り戻されますように。

アンドリー・シェフチェンコ

ウクライナの矢」と呼ばれたレジェンドで、ウクライナの首都クラブであるディナモ・キエフACミランなどで活躍。前ウクライナ代表監督。

私の祖国よ! 私はいつも、私の民族と私の国によって記されてきた! 私たちは多くの困難な時期を経て、この30年の間に一つの国家を形成しました! 剛毅で、信念を持ち、意思を持った人々の国! これが私たちの最も大切なものです! 今日は、私たち全員にとって困難な時です。しかし、私たちは団結しなければならない! 私たちは団結して成功するのです! ウクライナに栄光あれ!

アレクサンドル・ジンチェンコ

マンチェスター・シティに所属するウクライナ代表選手。

文明国全体が私の国の状況に関心を寄せている。このままではいけないと思い、主張したいのです。写真中:私の国 私が生まれ育った国。国際的なスポーツシーンで、私がその色を守る国。私たちが有名にし、発展させようとしている国。国境はそのままでなければならない国。私の国はウクライナ人のものであり、誰もそれを奪うことはできない。私たちは、私たちのものをあきらめない ウクライナに栄光あれ🇺🇦。

アンドリー・ヤルモレンコ

ウエストハム・ユナイテッドに所属するウクライナ代表選手。

すべてのウクライナ人が団結し、国に対するコミットメントを示し、我が軍を支援するよう強く求めます。私たちの強みは、自由、選択する権利、尊敬、人間の価値観です。すべてのウクライナ人が団結し、国に対するコミットメントを示し、我が軍を支援するよう強く求めます。私たちの強みは、自由、選択する権利、尊敬、人間の価値観です。私たちの選択は、ヨーロッパのウクライナです。私たちは強い国であり、私たちの土地で、真実は私たちのものだ!。私たちは強い国であり、私たちの土地におり、真実は私たちの背後にあるのです!

ロマン・ヤレムチュク

ベンフィカに所属するウクライナ代表選手。

私はウクライナ人であり、そのことを誇りに思っています。母国から何千キロも離れたところにいる私は、今、母国で緊張状態にある皆さんを応援したい、今こそ団結する時だ、と思っています。これは私たちの国、私たちの歴史、私たちの文化、私たちの人々、私たちの境界線です。ディフェンダーの勇気に感謝したい。ウクライナに栄光あれ🇺🇦🇺🇦🇺🇦

タラス・カチャラバ

スラヴィア・プラハに所属するウクライナ代表選手。

ウクライナは私の母国です。 私は我が国と我が軍を信じています。私たちの囲いの中で戦っている人たちを称賛したい。私はメンバーであり、国際舞台で祖国を代表することは大変な名誉である。 ウクライナに栄光あれ

ビクトル・ツィガンコフ

ウクライナの首都クラブであるディナモ・キエフ所属のウクライナ代表選手。

こんなことが起こっているなんて、最後まで信じられません。しかし、私はこれまで以上にウクライナを愛し、ウクライナ人であることを誇りに思っています。ここは私たちの家であり、誰も私たちから奪うことはできない。国境を守るために戦うヒーローに栄光あれ。ウクライナに栄光あれ 🇺🇦🇺🇦🇺🇦

オレクサンドル・ティムチク

ウクライナの首都クラブであるディナモ・キエフ所属のウクライナ代表選手。

ヘオリー・ブスチャン

ウクライナの首都クラブであるディナモ・キエフ所属のウクライナ代表選手。

私は、私たちの国、私たちの軍隊、そしてウクライナ国民を信じています 今、私たちは、ウクライナの近代史における最も重要な出来事の前で団結しなければならないのです。

私は我が国を誇りに思い、独立と国民を誇りに思っています。ウクライナは自国の国家を獲得するために非常に重要な道を歩んでおり、誰もそれを否定する権利はない。

我が国の国境、自給自足、未来を選択する権利のために戦っている軍人とすべてのウクライナ人に賛辞を送ります。

ウクライナは全てに優先する!

FCディナモ・キエフ

ウクライナの首都クラブであり、「シャフタール・ドネツク」と並んでこの国を代表するクラブ。両チームの試合は「ウクライナ・ダービー」とも呼ばれる。

自分たちの土地だ、誰にも渡さない!。真実は我々の背後にある!勝利は我々の背後にある!

ウズホロドからルハンスクまで、チェルニヒフからセヴァストポリまでのウクライナ人は、自分たちがウクライナという偉大な国の国民であることを誇りに思うようになるのです

ウクライナ万歳 国家万歳 🇺🇦

FCシャフタール・ドネツク

ディナモ・キエフ並んでウクライナを代表するクラブ。「ドネツク民共和国」の「首都」であるドネツクをホームタウンとする。マンチェスター・シティフェルナンジーニョがかつで所属していた。他の現役出身選手に、フレッジムヒタリアンドウグラス・コスタ、ウィリアン等。

必ず成功させる! 🇺🇦

カンセロはなぜ右利きなのに左SBなのか?

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Photograph: Marc Atkins/Getty Images

一般的に、サイドバック含む最終ラインは、左利きが左SB・CBに、右利きが右SB・CBとなることが多いです(もちろん、これは陣容をある程度自力で整備出来る環境であることが前提ではありますが)。そんな中で、左利きSBをおさえて右利きでありながら左SBのファーストチョイスに収まっているカンセロの存在は極めて特殊です。この記事では、その理由を読み解いていきます。

はじめに

先述したような、最終ラインにおいて、利き足と同じサイドに丁寧に選手を配置するのは、ざっくり言うとトータルフットボールの文脈にあるものだと言って大きな語弊は無いでしょう。つまり、最終ラインからスタートするボール保持・ボール循環において、左サイドの選手が、左足にボールを置き、広く視野をもつ=広く選択肢を持てることが、非常に重要な意味があるのです。

ペップがトータルフットボールの文脈にある監督であることは今更言うまでもないことではありますが、それを再度印象づけるのが、今季(2021-2022)のセンターバックのファーストチョイスです。

その1つ前のシーズンでルベン・ディアスという新たな若きディフェンスリーダーを得たペップは、そのパートナーとしてジョン・ストーンズを重用していました。それまで好不調の波が大きかったジョン・ストーンズですが、この若きディフェンスリーダーと共に起用されることで、みるみるパフォーマンスを上げていったのです。結果的に、このシーズンのシティのCBユニットの総合力の高さは、世界的に見ても随一でした。

にも関わらず、今シーズン、このCBユニットはファーストチョイスではなくなり、ストーンズに変わって左利きのラポルトが左CBとして、右利きの右CBルベンと共に先発することが増えました。もちろん、これにはシーズン開始時のそれぞれの選手のパフォーマンス状況なども考慮されてのことではあります。現に、レギュラーを降格されてしまったストーンズは、シーズン開幕前のEUROでの疲労などもあり、なかなかパフォーマンスを上げられなかったのも事実です。

しかし、シーズンが経過するにつれてパフォーマンスを取り戻していったストーンズが戦列にかえってきた際に加わったのは、かつてのようにCBとしてではなく、右サイドバックのバックアッパーとしてでした。このことは単純にパフォーマンスやフィットネスの問題だけで降格したわけではないことを語っています。つまり、CBのディフェンス強度が前シーズンと比べて低下するリスクを抱えてでも、利き足サイドの陣容をCBに整理することがペップにとっては重要だったと考えられるのです。

しかし、そんなある意味のリスクを負ってまでボール循環を整備しようとしているのだと考えれば、一体なぜ、左利きのジンチェンコではなく、右利きのジョアン・カンセロが左SBのファーストチョイスに収まっているのでしょうか

解題:カンセロはなぜ右利きなのに左SBなのか?

それは左利きのロッベンやマフレズが逆足サイドの右ウィングで起用されるのと同じ理由だと思われます。

つまり、カンセロはサイドバックでありながら、ウィングと同じく「ゴールに向かっていく角度」での働きを期待されている、と考えられるからです。

現に、カンセロは今シーズン、シュート数・タッチ数ともにチーム内で1位であることを踏まえると、これは偶然ではなく、デザインされた上でのことであると見えてくるでしょう。いわば、サイドバックでありながらも、ビルドアップの開始点ではなく、ゲームメーカーとしてカンセロは左SBに位置しているのです。

そしてシティは左サイドに右利きのゲームメーカーを隠し持ちつつ、ボール循環も確保しなければならないので左SBは左利きでなければならず、また逆サイドの右SBはカイル・ウォーカーストーンズのように高い守備強度が必要となるのではないでしょうか。

Side-Back As A Game-Maker

かつて、ゲームメーカーはトップ下に君臨していました(ロベルト・バッジオデル・ピエーロ等)。やがて、このポジションでは落第だったピルロが、相手からのプレッシャーを避ける意味で一列さげてボランチのポジションでゲームメイクを始めました。そして、そこから更に時代を経て、ゲームメーカーは更にポジションを下げてサイドバックになったと言えるのかもしれません。

それは単純に偽SBというワーディングでは漏れ出る役割を持った何かです。ビルドアップを補助し、ネガティブトランジションに置いてフィルターになることが求められているというよりは、ファイナルサードにボールを送り込み、場合によっては自ら勝負を仕掛けてボックスに侵入することが求められているのです。

現に、シティでも、偽サイドバックらしい動き(ハーフスペースへのランニング、ビルドアップ補助など)という意味ではジンチェンコのほうがずっとそれらしい動きができますし、それが必要な試合ではジンチェンコがスタートから起用されることもあります。にも関わらず、大一番ではカンセロが起用されるのは、ポゼッションで押し込んだあとに最後のひと仕事を相手のマークが薄いところからやる選手が必要だというペップの判断でしょう。

予想される弱点

もちろん、こういった戦略を採るのは守備強度の面で不安なところも少なくありません。

たとえばリバプールのように強烈なウィンガーが両サイドに張るようなチームに対しても同じように振る舞えるのかというと、多少の疑問が残ります。

また、かつてサッカー戦術界隈で名を馳せた「マンジュキッチ爆撃」=つまりフィジカル優位のポストプレーヤーがサイドに流れてロングボールを受けて起点となる戦術なども、カンセロのいるサイドで展開されるととても対応に苦慮するでしょう。

とはいえ、こういった強力なオフェンスの型を再現性をもって実現できているチームは非常に稀です。逆説的ですが、これらに対しては完全に有効な対抗策が見つからないからこそ、未だに有効性が担保されているのだとも言えます。つまり、左SBがカンセロであろうが誰であろうが、対応が非常に難しいことにかわりはないのです。これらを一人で受けきれて、かつ攻撃局面でも最低限の仕事が出来る選手など、世界的に見てもまず思いつきません。

それよりも、そういった弱点はチームディフェンスで対抗しつつ、攻撃局面での強みを発揮しきれるようなデザインを採っているのが、ゲームメーカーを左SBに置くという現状のマンチェスター・シティのスタイルなのでしょう。

今後、チャンピオンズリーグプレミアリーグでも強敵との戦いを残しているシティですが、その強敵たちがいかにしてこの布陣と対峙するのかは、要注目ポイントとなりそうです。